絵を描く時、
紙いっぱいに描けるのは楽しいものです。
描きたいものがたくさんあって、
アイデアが次々と浮かんでくる。
紙を埋め尽くすほど描けることは、
豊かなイメージや才能の表れでもあるでしょう。
でも、それと同じように、
暮らしまでぎっしり詰め込んだら、どうでしょう。
予定と予定の間に隙間がなく、
少し予定を変更することも難しい。
次から次へとやることに追われて、
気づけば家族みんなが疲れている。
そんなことはないでしょうか。
家族だからといって、同じペースでは過ごせない
家族は、一緒に暮らしています。
だからこそ、
「家族みんなで同じように過ごす」ことが
良いように思えることがあります。
同じ時間に起きる。
同じ予定に参加する。
同じペースで動く。
もちろん、家族で生活するためには、
ある程度の共通のルールや予定も必要です。
けれど、家族だからといって、
みんなが同じペースで過ごせるとは限りません。
疲れ方も違えば、好きなことも違う。
一人で過ごしたい時もあれば、
誰かと話したい時もある。
大人にも子どもにも、
それぞれのペースがあります。
疲れている時、私たちは「余裕」を失いやすい
心理学では、疲労やストレスが高まると、
感情を調整したり、
相手の気持ちを考えたりすることが
難しくなることが知られています。
頭では「そんなに怒らなくてもいい」
と分かっていても、
疲れていると、
ちょっとしたことにイライラしてしまう。
「早くして!」
「なんで?」
「もういい!」
そんな言葉が出てしまうこともあります。
これは子どもだけのことではありません。
大人も、疲れて余裕がなくなると、
相手の言葉を受け止める前に
反応してしまうことがあります。
だからこそ、家族の生活には、
休むための時間だけでなく、
心と身体が
自分のペースを取り戻すための余白
が必要なのだと思います。
少し空いているから、合わせられる
予定がぎっしり詰まっていると、
一つ予定が変わっただけで、
その後のすべてが崩れてしまうことがあります。
でも、少し空いていれば、
「今日は疲れているから、やめておこう」
「もう少し話を聞こう」
「予定を変えても大丈夫」
「今日は一人で過ごしたいんだね」
と、調整することができます。
余白があると、
「予定に人を合わせる」のではなく、
人に合わせて予定を変えることができるのです。
それは、家族の一人ひとりを
大切にすることにもつながります。
余白は「何もしない時間」ではない
余白というと、
何も予定がない時間や、
暇な時間を思い浮かべるかもしれません。
けれど、家族にとっての余白は、
それだけではありません。
一人で過ごす時間。
話を聞いてもらう時間。
少し休む時間。
予定を変更できるゆとり。
失敗した時に、やり直せるゆとり。
そして、相手の言葉にすぐ反応せず、
一呼吸おくことができる心の余裕。
そうしたものも、
家族の暮らしの中にある
「余白」なのではないでしょうか。
家族の暮らしに、少しだけ余白を
家族のために、たくさんのことをしてあげたい。
楽しい予定を入れたい。
子どもにいろいろな経験をさせたい。
家事も仕事もきちんとしたい。
そんな思いがあるからこそ、
暮らしはいつの間にか、
ぎっしり詰まっていくのかもしれません。
だからこそ、
ときには「足す」のではなく、
「少し空けておく」。
家族それぞれが自分のペースを取り戻し、
相手のペースも受け止められるように。
ぎっしり詰めるより、少し空けておく。
家族の暮らしに、そんな余白を残してみませんか。

