愛します:ゆるします

 

 

結婚式で多くの新郎新婦は互いを見つめあって、「愛します」と宣言したことでしょう。その時はきっと何があっても、良い時も悪い時も、病める時も健やかなる時も何とか乗り越えて愛することができるだろうと、希望的観測に満ち溢れていたことでしょう。でも、その時はまだ、この宣言の隠れた意味を理解していない人がほとんどです。「愛します」という宣言は同時に「ゆるします」という宣言なのです。

 

結婚とは親子以上に親密な関係です。地球上でもっとも親密な関係の在り方だと言えるでしょう。不完全な人間同士が、それほど親密な距離感でいるなら相手を絶対に傷つけない、なんてことは無理に等しいです。多くの人が結婚生活の中で相手をいかに傷つけないか、相手にいかに傷つけられないかを考えてしまいますが、それ以上に大切なのは、傷つけてしまったとき、傷ついてしまったときにどうするか、なのです。

 

 

 

人は過ちを犯すが、赦すことができる者は素晴らしい。

アレキサンダー・ポープ 詩人

 

ゆるす=妥協、譲歩だから弱い人間がすること思ってしまいがちですが、本当にゆるすということは、人間としての強さを必要とします。それは仕方なくゆるすことと、お互いを自由にするために愛をもってゆるす、という決断かどうかの違いです。

 

ゆるすことは間違いを犯した、自分を傷つけた相手を自由にしてしまって、悔しいと思うかもしれませんが、実はそうではありません。あなたが相手をゆるさないことで一番不自由になるのは実は自分なのです。ゆるすことができない怒りは少しずつ積みあがってあなたの精神や生活を蝕んでいきます。そしてその頃には相手は何があったのかさえ忘れてしまっているでしょう。ゆるすことはまず、あなたのために必要なのです。

 

 

 

ゆるすとは囚人を釈放し、そして囚人は自分だったことに気づくということです。

ルイス・B・スメデス 作家

 

ゆるす、ということは決して簡単なことではありません。ですが、愛するということも、決して簡単ではないのです。「愛します」という宣言に「ゆるします」という宣言が含まれているのは、「ゆるす」という行為は「愛する」と同じ意味だからです。夫婦関係において、愛がなければゆるすことは難しいでしょう。逆に言えば、「ゆるす」という決断を通して、あなたは相手を「愛する」のです。今日、相手を「愛する」ことを選びましょう。

 

 

 

闇に闇を追い払うことはできない;それは光にしかできない。憎しみに憎しみを追い払うこはできない;それは愛にしかできない。

キング牧師