分かり合うための線引き

 

 

昔はよく亭主関白という言葉を聞きましたが、そのあとは逆にかかあ天下という言葉もよく聞かれるようになりました。どちらかが、どちらかの言葉や意見を一方的に聞き入れて「うん」とうなずく。そうすることが夫婦円満の秘訣だと思われていました。

 

 

 

 

分かり合うためのコミュニケーションとは、自分の考えや思いを伝えて、相手の考えや思いを受け入れることです。でも、どちらか一方がいつも伝えてばかりで、どちらか一方がいつも受け入れているだけ、では分かり「合う」ことはできないのです。

 

 

 

いつも聞き手に回ってしまう人は、自分の言葉と相手の言葉の価値を量ったときにどうしても相手の言葉が勝ってしまいます。この時に必要なのが「線引き」です。

 

線引きというと、相手の言葉を拒絶してしまうように感じますが、実はそうではありません。これは相手の言葉と自分の言葉を勝手に比べないための線なのです。相手の言葉を「うん」の一言で自分の言葉に上書きしてしまうのではなく、線を引いて、相手の言葉をあくまでも相手の言葉として受け入れ、自分の言葉を自分の言葉として伝える。

 

そうすることで、相手に自分の言葉を聞く機会を与えることができます。あなた、と、わたしの間にしっかりとした線があるから、分かり「合う」夫婦となることができます。

 

でも、今までずっと聞き手だった関係でいきなり自分の意見を言うとびっくりされるかもしれません。そして、びっくりされたことがショックで、また聞き手に回ってしまうこともあります。まず、同じ悩みを持っている人同士で少しずつ、自分の言葉を伝える練習をしてみましょう。あなたの言葉には価値があります。それを今日、信じてみましょう。