お父さんの全面的サポート

 

 

 

父親が家族を養うとは経済面だけでなく、知性面、感情面、身体面、精神面を含めた、家族一人ひとりを全面的、全人的にサポートし、養うことです。

 

家庭において父親の役割は家族を経済的に養うことだと長年強調されてきました。たしかに経済的、物質的に家族を支えることは父親としての重要な役割の一つでしょう。しかし人間を構成する要素は物質だけではないし、また、物質や経済だけで人間の様々な要素の必要をすべて満たすことはできません

 

考えてみてください。あなたは今日、何か考え事をしてわくわくしたり、心配になったりしましたか?あるいは小さなこと、例えば改札で横入りされたりして少しイラっとしたり、いつもよりおいしいランチを食べて嬉しくなったりしましたか?肩が凝っていませんか?お風呂に入って、ふぅ~ってしましたか?今日はいつもより調子がいいですか?気持ちが沈んでいますか?

 

人間は様々な要素で構成されています。知的に考える思考があります。感じる感情があります。動かす身体があって、生きた精神があります。

 

「家族をただ経済的に支えるだけでなく、全人格つまり、感情的・身体的・知的・精神的に支えることが極めて大切です。」「自動車の四つのタイヤのようなものです。一つが完全であっても、ほかがパンクしていれば、自動車はどこにも行けません。」(「働き方改革より父親改革」グレゴリー・スレイトン著、糟谷恵司他訳、いのちのことば社フォレストブックス)

 

突然そう言われると、とても大変な役割に聞こえるかもしれません。自分の仕事だけで精一杯、仕事で稼いで養ってるんだからそれでいいじゃないか、と思うかもしれません。

しかし、いつまでもそういう考えでいたら、最終的に孤立するのは自分自身です。

 

多くの男性が人間の感情を無視しがちです。それは相手の感情もさることながら自分の感情もです。怒りも、悲しみも、孤独も、寝て忘れる、ビールで流し込む、分厚い筋肉のうちに閉じ込める、そのように自身の感情を扱ってきた、という男性は少なくありません。

 

 

 

まずは自分自身を全人的に捉える必要があります。仕事が終わって家に帰る時、いつもよりイライラしてるな、疲れてるな、と感じたら、「なんでだろ?」と考えてみましょう。

 

何が今日一日自分をイライラさせたのか、疲れさせたのか、振り返ってみる。そして「なんでだろ?」なぜ、それにイラっとしたのか、なぜそういうことで、どっと疲れてしまうのか、振り返ってみる。

 

毎日の帰り道、寝る前の少しの振り返り時間を通して自分が知性で何を考え、心で何を感じ、身体が何を感じ、精神がどういう状態なのか少しずつ知っていくことができます。

 

そうして自分自身を全人的に理解することができるようになれば、家族を全人的に理解できるようになってくるはずです。

 

妻がいつもよりもイライラしてるかな?「今日疲れてるみたいだけど、何かあった?」って聞いてみる(くれぐれも「なんでイライラしてるの?」と言わないこと)。

こどもがいつもより落ち込んでいるかな?「いつもより元気ないみたいだけど、学校で何かあった?」

 

はじめは上手くいかないかもしれない。でも、家族に耳を傾け続け、会話を重ねていくことで理解が深まり、関係が深まります。

 

 

 

「やがてかぞくのみんなそれぞれを、より深く本当に理解し、愛することができるようになります。また、子どもと、これから子どもが持つであろう家族に対して、素晴らしいも模範を示していることになります。そして何よりもうれしいのは、家族があなたを信頼して、心の奥底にある思いや非常に困難な課題について話してくれることを実感できることです。そのとき、あなたは家族と本当に分かり合える関係を築くことができるようになるでしょう。(「働き方改革より父親改革」グレゴリー・スレイトン著、糟谷恵司他訳、いのちのことば社フォレストブックス)